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  • 2023年3月15日

トレーナーが解説 マタニティトレーニングとは?

青柳 陽祐

青柳 陽祐

こんにちは!
Dr.トレーニングスクール東京校講師の青柳です。

今回は『マタニティトレーニング』について、Dr.トレーニングマタニティ事業部責任者の立場から解説をします。

 

マタニティトレーニングとは

まずは、”マタニティ”という言葉の意味について確認すると…

マタニティ(Maternity) “母になること” “妊産婦の” [1]

という意味になり、これを踏まえると『妊娠中・産後の女性のための運動プログラム』、というのがマタニティトレーニングになると考えられます。

一方でトレーニングという言葉に、

『パフォーマンスアップ、ボディメイク、ダイエット目的の方が行う、ウェイトを用いたキツい運動』

といったイメージを持っている方が多く、妊娠中の筋力トレーニングについて、懐疑的な見方をされることもありますが、知識・実務経験のあるトレーナーの指導の下、妊婦さん自身が希望をすれば、安全にトレーニングが実施できます。

“産科的・内科的合併症や禁忌がなければ、妊娠中の運動は安全で望ましいものであり、妊婦は安全に運動を実施するよう奨励されるべきである。” [3]

と、ACOG(米国産婦人科学会)を声明を出しており、主要各国(アメリカ、オーストラリア、カナダ)の学会も、有酸素運動と共に筋力トレーニングを妊娠中の安全な運動に分類し、個別化された指導の下で実施することを推奨しています。[4]

 

多くのジムが妊娠さんのトレーニングを断っている?

なぜ多くの施設が妊婦さんの利用を断るのか?という疑問をお持ちの方もいるかもしれません…

その理由は、

『施設側にとって妊婦さんを受け入れるリスクが高い』
『リスク管理ができる事業運営・人材育成ができない』

これらに尽きると思います。

Dr.トレーニングでは開業当初から諸々のリスクを承知の上で、マタニティトレーニングをサービスとして提供しております。

リスク管理を万全にするためには、妊産婦さんを取り巻く環境変化の把握、産婦人科学、運動生理学などに関する知識、トレーナーの知見を他分野の専門家と共有する、ということは欠かせないことです。

確かにトレーニングを実践する人全体で見ると、妊婦さんの割合というのは非常に少ないのが事実ですが、

『妊娠中・産後の体重増、体や心の不調、体型の崩れに関して、自分に合ったアドバイスを受けられなくて困っている』

という声を無視することは、弊社の理念(一瞬ではなく、一生モノの身体づくり)に反することになります。

心身ともに健康で赤ちゃんを産みたいという要望に全力で応えたい

産後も女性として自信が持てて心身ともに健康であり続けてほしい

このような想いで、日々トレーニングを受けていただけるお客様に向かい合っています。

 

妊婦さんがトレーニングするメリット

『妊娠経過・健康状態に異常がない』
『専門家によるリスク管理がなされている』
『妊産婦さんが自ら望んで運動を実践している』

これらの条件を満たしていれば、下記のようなメリットがマタニティトレーニングにはあります。

分娩時間の短縮 [5]

お医者さんが、臨月以降は積極的に運動をしてくださいと言っている理由の一つかもしれません。分娩時間がより少なく済むということは、産後の体のダメージ(会陰裂傷、骨盤底の損傷に伴う臓器脱・尿漏れなど)を減らすことができる可能性があると考えても良いのではと思います。またお産が長くなる要因として、基礎的な体力不足が懸念されますが、このような声もありました。

クライアントボイス#1:
『ベンチプレスで重りを挙げる時の、辛くても呼吸を止めずに力を入れる感じが、分娩の時のいきみ方と似ていたのに気づいた』

妊娠中の極端な体重増、妊娠糖尿病・高血圧症候群、産後の不安感・うつのリスク低下 [6]

妊娠中の体重増を適正に管理したいという要望は、マタニティトレーニングで一番多いです。運動による活動代謝(消費カロリー)の増加だけではなく、運動がより良い生活習慣を身につけるきっかけになった、という副次的な効果もあります。糖尿病や高血圧の予防として、適度な運動が効果的なことはよく知られていますね…

クライアントボイス#2:
『妊娠前にトレーニングをしていたけど妊娠してからできなくなり、食べづわりの影響でジャンクフードから炭水化物を過剰に摂りすぎてしまっている。だからトレーニングの習慣を取り戻せば、妊娠中の食生活も自然と改善しそうです。』

クライアントボイス#3:
『産後2ヶ月でトレーニングを再開したけど、このジムに行くの予定が、産後初めての子供と家族以外での用事なのがとてもうれしいです!』

クライアントボイス#4:
『子育てで落ち込むこともあるけど、パーソナルトレーニングを受け、目標を段階的に達成することで、自己肯定感も高くなった。』

産後うつ発症の要因として、新しい生活環境への順応、悩みや辛さを共有できない孤立した状態も考えられます。ジムを家庭や職場以外のサードプレイスとして活用いただくことで、少しでもお客様の手助けができればと思っています。

 

妊婦さんのトレーニングを担当できるようになるには?

Dr.トレーニングでは妊婦さんの新規顧客は、マタニティトレーナーのみが担当できます。
ここでは、マタニティトレーナーに必要なことを”三本柱”としてまとめてみました。

・リスク管理
・コミュニケーション
・スキル/知識

1.リスク管理

初めてマタニティトレーニングを受けるお客様は不安を持ってやって来ます。

『お客様が不安・不快に思うことは、お腹にいるお子様にとっても同じである。』

と考え、安心していただけるような気配りを行うことがリスク管理に繋がります。
例えばこちらを考えてみてください…

ダンベルプレスではダンベルを取り扱いますが、どちらで受け渡しをすれば安心か?

A.胸やお腹の上にダンベルを保持した状態
B.ダンベルを胸の横に下ろしてもらった状態

自分であれば、

『お客様にダンベルを落とさないと100%言い切れないし、お客様も大事なお子様の上を重量物が行き交うことに不安を覚えるのではないか?』

と考えて、Bにします!

2.コミュニケーション

お客様が使う言葉に興味を持ってください!

クライアントボイス#5
『卒乳してから胸がこそげ落ちて、巻き肩になった感じもある。最近は、妊娠前に似合っていた服を着ても、デコルテ周りが貧相に見えるのが嫌なんですが、何かできませんか?』

この要望に対して、どのような提案をしますか?
完全な正解・不正解はありませんが、卒乳やデコルテというワードを知った上での動機づけ(モチベーションを上げる)をしないと、どんなにトレーナーが良いと思うプログラムでも、お客様には無価値なものとなってしまいます…

3.スキル/知識

私見ではありますが、エクササイズの95%はマタニティトレーニングへ転用可能です。
ベンチプレス、デッドリフト、腹筋運動など、妊婦さんへの指導も個別化されていれば問題はありません。

個別化の手段は、妊婦さん以外への指導経験から培われるものです。
Dr.トレーニングの社内基準は、1年以上のトレーナー歴、かつ約800時間以上の実務経験を最低条件として求めています。

 

まとめ

マタニティトレーニングは妊娠中・産後の女性の想いに応え、お子様、そしてそのご家族の健康と幸せを守るサービスです。

トレーナーには大きな責任が伴いますが、お客様の人生の一部に深く関わることができるのが、マタニティトレーニングの醍醐味だと思います。

Dr.トレーニングスクールでは、今年からマタニティアカデミーを開講させていただくことになりました。

詳しい告知は今後行いますが、本気で学びたい方・少しでも興味を持たれた方、青柳に聞いてみたいことがある方は、

https://lstep.app/form/17851/SJSo8c/397832

ぜひこちらから、無料セミナーの受講申し込みをください!

プロフィール
青柳陽祐 
株式会社Dr.トレーニングマタニティ事業部責任者

【学歴】
Lasell University Bachelor of Science in Athletic Training

【職歴】
Olympic Development Program US Youth Soccer
有限会社目黒ゴルフ練習場
東京健康科学専門学校非常勤講師
慶應義塾大学医歯薬学部ラグビー部

【資格】
BOC-ATC(アスレティックトレーナー)

※参考文献

[1] Cambridge University Press & Assessment

[2] Takami, M., Tsuchida, A., Takamori, A., Aoki, S., Ito, M., Kigawa, M., … & Japan Environment & Children’s Study (JECS) Group. (2018). Effects of physical activity during pregnancy on preterm delivery and mode of delivery: The Japan Environment and Children’s Study, birth cohort study. PloS one, 13(10), e0206160.

[3] American College of Obstetricians and Gynecologists. (2015). Physical activity and exercise during pregnancy and the postpartum period. Committee Opinion 650. (No Title).

[4] Tsakiridis, I., Bakaloudi, D. R., Oikonomidou, A. C., Dagklis, T., & Chourdakis, M. (2020). Exercise during pregnancy: a comparative review of guidelines. Journal of Perinatal Medicine, 48(6), 519-525.

[5] DiPietro, L., Evenson, K. R., Bloodgood, B., Sprow, K., Troiano, R. P., Piercy, K. L., … & Powell, K. E. (2019). Benefits of physical activity during pregnancy and postpartum: an umbrella review. Medicine and science in sports and exercise, 51(6), 1292.

[6] Watkins, V. Y., O’Donnell, C. M., Perez, M., Zhao, P., England, S., Carter, E. B., … & Raghuraman, N. (2021). The impact of physical activity during pregnancy on labor and delivery. American journal of obstetrics and gynecology, 225(4), 437-e1.

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