Dr.トレーニングスクール

NSCA-CPTパーソナルトレーナー養成スクール

「プライオメトリクス」とは|プロ野球のトレーナーが徹底解説!

投稿者 スクール編集部

こんにちは!
Dr.トレーニングスクールの林泰祐です!

普段は、一般のお客様からプロアスリートまでトレーニングを担当しております。
過去にはアメリカで4年間、アスリートのトレーナーもやっておりました。

今回の内容は、私がアスリートとトレーニングを行う際に、よく使用する「プライオメトリクス」について紹介していきます。
「ウェイトトレーニングやっているけど、足が速くならない」
「今よりもっと高く飛びたい」
あなたもトレーナーとして、こういった要望を持ったアスリートとトレーニングをする機会があるのではないでしょうか?

そういった能力を向上させるために、あなたならどのようなトレーニングを処方しますか?
単純にウェイトトレーニングを行うだけでは、瞬発力の向上には限界があります。

そのようなアスリートに処方すべきトレーニング、それが
「プライオメトリクス」になります。

 

プライオメトリクスとは?

それでは、プライオメトリクストレーニングの概要を解説していきましょう。
まず、「プライオメトリクス/Plyometrics」という言葉の解説からです。

語源は元々、ギリシャ語から来ております。(解剖学などトレーニングに関する英語は基本的に、ギリシャ語です)”Plyo”は英語で言う”more”に当たります。”metrics”はmeasurement に当たります。2つを合わせて”more measurement”ですと少し意味がわかりづらくなってしまうため、英語では”increase measurement”と訳されます。つまり、「記録を伸ばす」という和訳になるわけですね。このことからパフォーマンスの記録を伸ばすために行うトレーニング法だということがわかります。

さて、語源を知って頂いたところで、いよいよプライオメトリクスの概要に入っていきましょう。

プライオメトリクスの最大の目的は【スポーツ選手が必要とする身体的パワーを向上させる】ことです。ウェイトトレーニングでも身体的パワーの向上は見込めるのですが、プライオメトリクストレーニングを導入することで、より効率的に瞬発力やパワーを高めることが出来ます。

負荷を利用したウェイトトレーニングが、パワー鍛えるために必要な筋ー神経系の適応を高めるのに対して、プライオメトリクスはパワーのスピード面を重点的に鍛えることが出来ます。その際、「伸張ー収縮サイクル(SSC)」という筋肉の生理学的変化を運動能力へと転換します。

 

伸張ー収縮サイクル(SSC)とは?

筋肉の活動には3つの種類があります。

①短縮性収縮(コンセントリック)

②伸張性収縮(エキセントリック)

③等尺性収縮(アイソメトリック)

スプリントやジャンプを行う際に、下半身が重力や圧縮力、衝撃力を受けると、エキセントリックのすぐ直後にコンセントリックが起きます。このような筋活動の組み合わせを伸張ー収縮サイクル(SSC)と呼びます。コンセントリックの前に速いエキセントリックが加わると、コンセントリック時の力とスピード、パワー出力が増大します。

では、なぜ伸張ー収縮サイクルによって、パワー出力が増大するのでしょうか?

結論から述べると、伸張反射という反射作用を利用するからです。伸張反射を引き起こすには、筋紡錘という固有受容器の存在を知る必要があります。筋紡錘は筋と腱の接合部付近にあり、筋の伸張速度を感知します。よって、筋の伸張速度が速ければ速いほど、速く収縮しようとする性質を持ち合わせています。この性質は、肉離れを予防するものとしても機能してくれます。プライオメトリクスは、この伸張反射を利用することで、より速いコンセントリック収縮を促し、それによってパワー出力を高めることにつなげてくれる、恩恵の高いトレーニング方法なのです。

 

プライオメトリクスの効果とオススメな方とは

では、どういう競技の選手がプライオメトリクストレーニングを取り入れるべきでしょうか?

結論は、全ての競技アスリートは取り入れるべきです。ジャンプの高さが必要になる、バスケットボールやバレーボール、回旋動作でパワー発揮が必要な野球、そして瞬発的な能力がそこまで必要とされない長距離ランナーにも必要です。先述したように、筋肉には伸張ー収縮サイクル(SSC)が備わっています。長距離ランナーも一瞬で発揮するパワーが高ければ高いほど、ストライドの距離が長くなります。そうすることで、ゴールまでの歩数が減り、結果的にランニングに必要なエネルギーを効率良く使うことができるのです。

プライオメトリクスの具体的なトレーニング例

ここでは、具体的なプライオメトリクストレーニングの例を紹介していきます。

何度も述べてきましたが、スクワット/デッドリフト/ベンチプレスのようなウェイトトレーニングを行った上で、プライトメトリクスのようなパワートレーニングは必ず組み込んでいきたいです。
代表的な種目は「ジャンプ」になります。バスケットボールやバレーボールなど試合や練習の中で何回もジャンプをしていますよね。競技特異的な動作にもなるため、よりパワー発揮が出来たほうが、高いジャンプができるようになります。伸張反射を利用するためには予備動作が必要になります。
ジャンプでの予備動作とは、スクワットで下がる動作+腕を後ろに振る動作になります。この予備動作のときに大臀筋やハムストリングスといった筋肉が伸ばされます。この引き伸ばし(エキセントリック収縮)が速ければ速いほど、速く縮むため、ジャンプ力を高めるための瞬発力も向上させることが出来ます。

次に、サッカーやラグビーといったフィールドスポーツでは切り返しの能力が必要になります。切り返しの能力を向上させる際にも、プライオメトリクストレーニングの効果は必要になります。切り返しの際に、関与する筋肉の収縮速度を速めておくことで、切り返しのかかる時間を短縮することが出来ます。

また、野球やゴルフといった回旋スポーツでは、飛距離や球速をアップさせるためにメディシンボールを使用したプライオメトリクストレーニングも必要になってきます。特に骨盤と上半身をつなぐ体幹(特に腹斜筋)の伸張反射を利用できることで、さらに回旋のスピードは上がってきます。

各スポーツの競技特異性を理解した上で、どのような動作のプライオメトリクスを入れるようにしていきましょう。

 

プライオメトリクスを行う時の注意点

ここでは、プライオメトリクストレーニングを処方する際の注意点について触れておきます。まずアスリートといえど、子供である場合は注意が必要です。運動やトレーニング歴の浅い子供が、いきなりプライオメトリクスを行うのは、オススメしません。理由は、動作のフォームが崩れやすいからです。特にジャンプを行う際のスクワット動作ができていないまま、負荷の高いプライオメトリクスを取り入れてしまうと、怪我のリスクが上がってしまいます。
年齢でいうと、中学生までは細心の注意を払って取り組んでください。子供の場合、筋力もそこまで高くはないので、まずはエキセントリックトレーニングで筋は筋紡錘が「伸張」になれるようなトレーニングから始めてください。

高齢者のトレーニングでも、プライオメトリクスを取り入れることは優先順位は高く有りません。高齢になってくると、筋力の低下はもちろん、関節可動域も低下してくるため、動作の速さを必要とするプライオメトリクストレーニングは最適であるとは言えません。

また、疲労が溜まっている状態での過度なプライオメトリクストレーニングも控えてください。プライオメトリクス自体は、筋肉に対してそこまで疲労をもたらすようなものではないです。ただし、早い動作習得や伸張反射と言った反射作用を頻繁に利用するため、脳への刺激が高いトレーニングとなります。トレーナーとして、練習や試合の負荷を考慮した上で、プライオメトリクストレーニングの回数や頻度を決めていく必要があります。

 

プライオメトリクスの効果を最大限にするポイント

ここからは、私がアスリートとのトレーニングのときに使用する、プライオメトリクスをより効果的に行う手法を紹介します。

その手法は「Post-Activation-Potentiation ※以下PAP(活動後増強)」というものです。
先述の通り、負荷を使ったウェイトトレーニングは筋ー神経の適応を促します。PAPの手法では、その適応が高まっている状態を利用します。つまり、中〜高負荷のエクササイズの直後に、プライオメトリクスを導入して筋や筋紡錘へのアプローチを施すわけです。
神経適応が高い状態で、伸張反射やSSCを最大限に利用することで、基質への適応も促すわけです。セットの組み方の例としては、バックスクワットの直後にバーティカルジャンプを組み合わせたりします。ここで大事なのは、ウェイトトレーニングのエクササイズと類似しているどうであること。そうでなければ、適応の度合いが低下してしまいます。
注意点は、ウェイトトレーニング初心者には導入すべきではないということです。まずは重量を扱うことに慣れていないと、負荷が高くなりすぎて怪我につながってしまいます。イメージは、1年目はウェイトトレーニングに慣れる年で、2年目からPAPを導入するイメージです。

 

スポーツ選手 or アスリート のトレーナーになりたいならDr.トレーニングスクール

さて、今回のブログいかがでしたか?
少しでもあなたのトレーナー活動のお役に立てていましたら、非常に光栄です。今回のようなアスリートに対してのパフォーマンスアップの講座もDr.トレーニングスクールでは受講できます。
私自身トレーナーとして学ぶことを止めてしまうと、プロのアスリートを担当する資格はないと考えております。もし、あなたが将来プロのアスリートを指導したいのであれば、様々な分野の情報を自分から取りに行きましょう。

Dr.トレーニングスクールでは、基本的に海外の最新文献を元にカリキュラムを構築しています。海外文献を使用する理由は、自分の知識への信頼を増すためでもあります。もちろんトレーナーとして指導した際に得られる情報も大事になりますが、その元となる理論はしっかりと持っておかなくてはなりません。メジャーリーグの球団トレーナーと一緒に仕事をするときにでも、彼らは毎日文献を読んでいました。それほど、身体に関する情報はめまぐるしく変わっています。あなたもこの流れに取り残されないようにして、アスリートと一緒に成長していきましょう。

 

最後の私がトレーナーとして心がけていることをお伝えします。

「トレーニングに正解はないが、不正解は存在する。」この考えに至ったのは、Dr.トレーニングの代表である山口元紀と一緒に仕事をしているからです。
私達トレーナーは「1+1=2」ということを日々の勉強でインプットします。しかし、実際にアスリートによっては同じ「2」という答えを導くのに「3−1」「2×1」と言った様々なアプローチがあるわけです。その一つ一つに瞬時にかつ、信用できる情報を伝えるのが真のプロフェッショナルだと私は思います。
山口はいつでもプロフェッショナルであれといいます。本当のプロフェッショナルなトレーナーは自分の知識の棚から、最適解を瞬時に提供できるのです。

あなたも私達と一緒に、真のプロフェッショナルなトレーナーになりませんか?

 

Dr.トレーニングスクール講師|林泰祐

<学歴>

  • 関西大学文学部(学士号)
  • Indiana State University Exercise Science(学士号)

<資格>

  • NSCA-CSCS(NSCA認定 ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
  • CSAC(Athlete Acceleration認定 スピード&アジリティコーチ)
  • CFSC(Certified Functional Strength Coach)Level1

Copyright 2017- Dr.TRAINING. All rights reserved.